Young Leaves





一方。

サファイアとペリドットは、教室に向かう間、話しながら歩いていた。



「サファイア。何でルビーにあんなこと言ったんだ?」

「オマエも思ってただろ?ルビーが今まで女に対して、あんなこと言ったことがないからだよ」

「笑った顔が可愛いかった。普段からああ笑えばいいのに…って言ってたね。マリーゴールドに」

「そう。いつものアイツなら、絶対言わないだろ。言っても、可愛いまでだ。それなのに、マリーゴールドに対して、あんなことを思うなんて……違う。無意識に気になってるんだろうな。よりによって、マリーゴールドか」

「何かあったのか?サファイア」


ペリドットが尋ねると、サファイアは息を吐く。そして、話し始めた。



「中等部の頃にマリーゴールドをドルチェから奪おうとしたヤツがいたんだよ」

「え?」

「昔から頭が良くて、常に成績は一位だった。それがうちの中等部に入ってからは、ずっと二位。勉強しても、ドルチェには勝てない。初めて壁にぶち当たったんだろうな。なのに、ドルチェは全然自分を意識していない。悔しくて、思ったんだろうな。アイツの悔しい顔を見たくなった。でも、勉強では勝てない。それなら他のことで悔しがる顔を見たくなったんだろう。それでドルチェの婚約者であるマリーゴールドに近づいた。マリーゴールド自体は、ソイツに無反応だったけどな。だが、ドルチェは違う。ぶち切れた。相手の顔が血まみれになっても、ソイツをぶん殴った。騒ぎを知ったジェラートやグラニータ達に止められて、ようやく渋々止めた。じゃなきゃ、殺してたかもな。どうやら自分の手もヒビが入っていたことすらも気づいてなかったし」


それを聞いて、ペリドットは考え込む。それからゆっくりと口を開く。



「ドルチェは誰かにマリーゴールドを奪われることが一番許せないんだろう」

「ああ。アイツは他のことに関しては、何の反応も示さない。だが、マリーゴールドを奪われることに関しては、敏感だ。もしも、ルビーがマリーゴールドに…」

「敵認識されるだろうな。今はルビーの存在すら知らないみたいだし」

「ドルチェ自体があまり人に興味を持たないからな。敵となれば違う」

「サファイアもドルチェから敵認識されてるしな」

「オレ個人というよりは、家だけどな」


二人は、ルビーがラピスラズリに興味を示さないか心配していた。

だが、残念ながら、それは後に的中してしまう。


そんな彼らの心配をよそにルビーはというと───



(今日の夕飯は何かな。おれの希望は、ハンバーグがいいな。目玉焼きが乗ったやつ。卵は半熟くらいでさ……へへっ)


夕飯のことで、頭がいっぱいだった。





【END】
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