Irreplaceable


“あの…”

“あなた、あの二人に囚われてしまっているのね?”

“え?”

“シトリンも良くないけれど、絶対にアメジストを信頼してはだめ”

“どういう意味ですか?”

“彼は他人に興味は持たないけれど、一度興味を示すと執着するの。だから、そうならないように気をつけて。じゃないと…”





確か、そう言われた。
それから屋敷にラピスラズリ様は来ることがなくなってしまったけど。学園に彼女はいるが、ぼくから話しかけることは出来ない。身分もあるし、人前で話しかけたら、他の人に何を言われるか。



「アメジスト様、ラピスラズリ様と婚約していたけど、婚約破棄されたのよ」

「え…」


だから、屋敷に来なくなったんだ。
そのせいかアメジスト様、あれからよくぼくの勉強を頻繁に見てくれたり、一緒にいることは増えたなと思ってはいたんだけど。



「表向きは、円満な婚約破棄と言われているが、ルビー・マチェドニアにラピスラズリ様を奪われたって話だぞ」

「ルビーくんが?」

「私から見ると、アメジスト様よりルビーに惹かれた感じに見えるけどね。ラピスラズリ様、アメジスト様といても幸せそうじゃなかったわよ?」

「……そんな」

「そこら辺は当人達しかわからないからな。だけど、気をつけろよ?コーラル」

「ぼく?大丈夫だよ!もうターコイズは心配症なんだから!さ、教室に戻らないと」


ぼくは先に視聴覚室を出た。
残された二人がある会話をしていたことに気づかずに。



「コーラル。気をつけないと狙われるぞ」

「ええ。アメジスト様、コーラルといる時間が増えているのよ。学園では近づいて来ないけど、コーラルに近づこうとしている人間をすごい目で睨みつけていたわよ」

「夜はシトリン様が独占しているが、いつアメジスト様も乱入してくるかわかんないからな」

「最近のアメジスト様のコーラルを見る目が違うものね。あまりコーラルを一人にさせないようにしないと」




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