序章 side A

目を覚ますと、私はベッドの上にいた。首筋には包帯が巻かれていた。





「……あれ?私、どうして、ここに?」

「大丈夫ですか?」

「リク様!?リク様の方こそ、体は大丈夫なんですか!?まだ寝ていなくて…」

「大丈夫ですよ。吸血鬼は人よりも頑丈ですから。それよりも…」



リク様に抱きしめられた。突然のことに私は、困惑した。

もしかしたら、私が倒れたと聞いて、心配させてしまったのかもしれない。





「あなたが無事で良かった!」

「リク様…」

「あなたを失ってしまったら、僕は生きていられません…」



更に強く抱きしめられた。

苦しいけれど、嬉しかった。私も彼の背中に腕を回す。





「リク様を置いて死んだりなんかしませんから…」

「アリスさん…」



さっきはつい弱音になってしまったけど。

私はこの人と生きたい。こんなに私を想ってくれる彼と共に未来を歩きたい。





「僕は諦めません。あなたが僕にとって“毒”だとしても、絶対に何か方法があるはずなんです。一緒にそれを見つけましょう!僕とあなたが一緒にいられる道を…」

「私もリク様と生きたいです…」



私の恋人はリク様だけだ。

血に嫌われても、私達は運命に抗うことを決めた。



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