Smell of Blood
アリスが去った後、立ち尽くすハルクの元にタスクが現れた。
「ははっ。ハッキリと断られてやんの!」
「……うるせェ」
「お前がメイドに話しかけるなんて珍しいじゃん。あの子に惚れた?」
「違ェよ!」
「ふーん。てか、人間は餌でしかねェんだから。恋なんてしたって無駄だからな」
「………」
一週間後。
「キュッ!」
私の目の前に見たこともないような生き物が現れた。大きさはリスくらいかな?うさぎみたいに少しだけ耳が長い。丸い大きな赤い瞳で私をジーッと見つめてくる。
「可愛い!」
「キュッ!!」
その子が撫でてと言わんばかりに頭を差し出してくるから、思わず撫でた。ふわふわ!触り心地がクセになる!
「家に連れて帰りたい!君、私のところに来る?」
「キュウ?キュッ!」
「可愛いー!一緒に帰ろうか!」
「オレの相棒を奪うんじゃねェ」
いつの間にかハルク様がいた。
え、いつからいたの!?そう思いながらも、会話を続ける。
「え。あなたのペットなんですか?」
「ペットじゃねェよ!」
「キュッ!」
懐いているのか、その子はハルク様の肩の上に乗っかってしまった。
「名前はなんて言うんですか?」
「アガット」
「良い名前だね!アガットくん!」
「キュッ!」
私が名前を呼ぶと、返事をしてくれた。可愛い過ぎる!ハルク様にはもったいないわ。
「お前、アガットに気に入られたな…」
「本当ですか!?嬉しいです!あ、私が作ったクッキーがあるんですけど、食べてくれますかね?」
「好き嫌いねェから食べる。甘いもんが好きだし」
早速、クッキーが入った袋を取り出して、小さく折ってから、アガットくんに差し出す。すると、それを受け取り、もぐもぐ食べ始めた。食べる姿も可愛い!
「はー。いつまでも見ていたいんですけど、そろそろ帰らないと。ハルク様、残りのクッキーをアガットくんにあげてください!」
「わかった…」
袋につめられたクッキーを渡して、アガットくんに手を振り、別れた。アガットくんは私に向かって、手を振ってくれた。可愛い。また会いたいな。
.