使い魔 Ⅲ


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着替えを終えた私の手には、使い魔の子達がくれた色とりどりの花があった。それらをまとめて束に持ち歩く。早く帰って、家に飾らなくちゃ。花瓶は棚にしまってあったはずだし。

廊下を歩いていたら、アガットくんが待っていた。



「あれ?アガットくん、どうしたの?」

「キュッ!」


ついてきてと言われた気がしたので、後を追いかける。連れて行かれたのは、いつもの中庭だ。



「アガットくん。どうして、ここへ?」


そう声をかけると、アガットくんの姿がない。あれ?どこに行ったの?
周りをキョロキョロしていたら、目の前に知らない男の人がいた。そこにはさっきまでアガットくんがいたはずなのに…。



「この姿では“はじめまして”ですね。アリスさん」

「え…」


この姿では、はじめまして??男の人の目を見た。アガットくんと同じ目の色をしていた。まさか。



「アガット、くん?」

「はい。アガットです」


ついくん呼びにしてたけど、さん呼びの方が良かったかな!?どう見ても、私より年上だし。



「あの…」

「なんですか?」

「今までアガットくんと呼んでいましたが、これからはアガットさんの方がいいですか!?」

「……あはは。面白いですね!アリスさんは」


何故か笑われてしまった。私、変なことを言ってないのに…。



「使い魔相手に気をつかうなんて、あなたが初めてですよ。本当に…。人間なんて憎む対象でしかなかったのに」

「えっ…」

「だから、お坊っちゃまはあなたを選んだんでしょうね。孤独だった彼をあなたが救ってくれたから」


お坊っちゃまって、ハルク様のこと?アガットさんはハルク様の使い魔だし。
というか、選んだ??確かに私はハルク様の運命の血だけど、あれは偶然だっただけでは…。あと救ってくれたって何?私、ハルク様に何かしたことないけど。え、話についていけない。



「すみません。今のあなたには記憶がないのに…。ですが、あなたに言いたいことがあったので、こうして姿を見せたんです」

「言いたいこと?」

「はい。単刀直入に言います。リク様とは別れた方がいいです」

「えっ…」

「リク様のために。そして、あなたのためにも、ね」


彼は私にリク様と別れろと告げてきた───。





【to be continued】
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