使い魔 Ⅲ
「ブラン!」
「キュ、キューッ!」
リク様が名前を呼ぶと、そうだと言わんばかりに元気よく跳ねる子がいた。兄弟の使い魔達と比べると少し大きい。毛の色も白いし。
「リク様、その子は何て言ってるんですか?」
「面白いことやってるから来ちゃった…と言ってます。ブランは好奇心旺盛なタイプなので」
全然気難しい子ではなかった。使い魔も色々な性格の子達がいるんだな。
その後、集まった子達を全員洗ってあげた。
洗われることに抵抗がない子もいれば、中には入る前は不安がっていた子も洗ってあげると嬉しそうな顔をしていた。その顔を見ると、やってあげて良かったと思う。
しかし、流石に8匹も洗ったら、疲れてしまった。使ったものをすべて片してから、リク様の部屋に帰ってきた。先に部屋に戻っていたリク様に促されて、イスに腰をかけると飲み物をいただいた。「ありがとうございます」と言うと、リク様は微笑んだ。
「おつかれさまです。皆、アリスさんに感謝してましたよ」
「そうですか。それなら良かったです!あれ。ここに置いてあるものは…?」
気づくと、テーブルの上に色々なお花が置いてあった。一つだけ高級チョコがあったが、それは当主の使い魔からと言っていた。
「花の方は兄弟の使い魔達からのお礼です」
「素敵!キレイなお花ばっかりですね!」
「嬉しかったんじゃないですかね、彼らも。あまり使い魔達のことまで考える者は少ないですから」
「喜んでくれたなら、私も嬉しいです!」
「少し妬けますね…」
そう言って、リク様が後ろから私を抱きしめてくる。突然過ぎて、私は固まってしまう。
「リク様…?」
「ワガママなのはわかってます。でも、クロッカス達ばかりじゃなくて、僕も見て欲しいです」
「ワガママじゃないですよ。それに私の一番はリク様なんですから」
リク様の顔を見て、私はそう言った。互いの唇が重なって、私達は抱き合った。
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