使い魔 Ⅱ

数日後。
屋敷の廊下を歩いていたら、ライ様の肩に使い魔の子がいた。



「何だよ、オーキッド」

「キュー!キュッ!キュッ!」

「もううるせーな。わかったよ。引っ張るなって」

「キュッ!」


あの子、ライ様の使い魔だったのか。ちょっとビックリだわ。名前はオーキッドっていうんだ。

どこかへと歩き出すライ様とその子を見送っていたら、使い魔の子がこちらに振り向いた。



「……キュッ!」


そして、私に向かって、鳴いた。その鳴き声にライ様が反応する。



「オーキッド、何?ありがとうって…」

「キュッ!キュッ!!」

「痛てーよ!わかったから、髪を引っ張んなって」


あの子はライ様の髪を引っ張ったり、叩いたりしていた。私は二人の姿が見えなくなるまで見送った。



「どういたしまして」


ふふっ、ツンデレだ。あの子。可愛い。



「ツンデレ?…何一人で笑ってんだよ、お前。ちょっと気持ち悪いぞ」

「ハルク様…」


いつからいたんだ、この人は。あ、人じゃない。吸血鬼だった!
しかし、このハルク様の口から、ツンデレなんて言葉が出るとは…。



「……」

「…何だよ」

「ハルク様もツンデレっぽいですよね」

「は?」

「さて、お仕事、お仕事!」

「おい、どういう意味だよ!それは…」


それには答えず、ハルク様を置いて、私は歩き出した。





【END】
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