使い魔 Ⅱ


「あれ…」


珍しく廊下で使い魔の子を見つけ、声をかけてみようと、近づいてみた。

その子は私を見ても逃げなかった。逃げなかったから、てっきりアガットくんかクロッカスくんかと思ったら違う。
アガットくんなら、私を見たら向こうから近づいてくるし、クロッカスくんなら尻尾を振ってくれる。しかし、目の前にいる子は無反応だった。



「どうしたの?」

「……」

「あ。お菓子、食べるかな?」

「……」


返事してくれない。アガットくんのようにお菓子を食べることもしない。見向きもしない。



「何かあったの?」


ぷいっ。
顔をそらされてしまった。どうやら私は好かれていないようだ。

でも、ぷいってされても、可愛いかった。アガットくんやクロッカスくんはこんな反応しないから新鮮だったのもある。



「ふふっ、可愛い…」


使い魔の子も色々な子がいると、リク様も言っていたしね。

ふと目の前にいる子の目を見ると、水色だった。空の色みたいでキレイな色をしていた。



「あなた、キレイな目をしてるね」

「!」

「君のご主人様も君のことをそう思っているだろうね」

「……キュー?」


あ、やっと返事してくれた。
今の返事的に「本当?」って聞いてるような気がした。私はその子の頭を撫でた。



「本当だよ。目だけじゃなくても、君は可愛いよ」

「……………キュッ!」


なんとなく「そんなの当たり前でしょ!」みたいに答えた気がした。そして、その子は姿を消してしまった。



「行っちゃった…」


可愛いって言ったら、ちょっと照れてたようにも見えた。
また会えるかな。



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