Haluku Ⅲ

眠っていた時、何かが私に触れた気がした。
しかし、眠たかった私は、起きるのを拒否した。まだ暗いから寝たい。寝かせて。そのまま眠りにつく。



「……」

「……どうだ?」

「だめです。思い出させないように記憶を封じられています。やったのは、おそらく…」

「親父だろうな。アリスの記憶を封じてまで、見られたくないものがあった。そのせいでオレとの思い出までも封じられた」

「どうしますか?」

「取りあえずは様子を見る。でも、アリスの記憶は絶対に思い出させる。屋敷にいる時はアリスから離れるな」

「わかりました」


そんな会話を二人がしていたなど知らない私は、幸せな夢の中にいた。もうじき自分が知らない真実を知ることになると気づかないまま───。





【END】
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