Haluku Ⅲ

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二時間後。



「後はこれを冷蔵庫に入れて、しばらく置いとくだけ。アガットくん、先にご飯でもいいかな?」

「キュッ!」


何となく大丈夫と言ってるような気はする。あのご主人の方が大丈夫じゃない気がするけど、まあ、いいか。



「アガットくん、ハンバーグは平気?」

「キュッ!キュッ!」


大丈夫みたい。一応、食べやすいように小さめにしておこう。アガットくんも手伝ってくれようとしたけど、お客様だから待っててもらうことにした。私の作る様子をジーっと見てた。



「もう少ししたら、出来るから待っててね?」

「キュッ!」


30分後。
夕食は完成した。ハンバーグの焼き目も最高だ!



「よし、出来た!」

「キュッ!キュッ!!」


二人分の夕食をテーブルに並べて、アガットくんと一緒に食べた。食べる姿が可愛くて、癒された。これ、毎日だったらすごく癒されるに違いない。

食後、しばらくして、アガットくんは眠ってしまった。すぴー、すぴーっと寝息をたてながら。
ふふっ、寝顔も可愛いな。私のベッドに寝かせてあげよう。起こさないように体を持ち、ベッドに運ぶ。その体にタオルをかけてあげた。


食べた食器を洗い、片づける。
片付けも終わったから、お風呂にでも入ろう。準備をしていた時、バルコニーの方から何か音がした。私、洗濯物はとったよね?思わず気になって、カーテンを開けると───



「ハルク様!?」


ここにはいないはずの彼がいた。
開けろというジェスチャーをしてくるから、仕方なく窓を開けた。



「アガットは?」

「アガットくんなら…寝てますけど」

「だから、急に音声が途切れたのか…」


ん?音声が途切れた??
まさか、アガットくんを通じて、会話を聞いてたの!?盗聴じゃない!



「そこまでします!?いくらアガットくんが心配だからって…」

「いや、そうじゃなくて!」

「最低です!」

「話、聞けよ!」


そこへ玄関のドアをノックする音がした。



「アリスさん。いるわよね?」


まずい。この声は!



「(大家さんです!ちょっと隠れてください!)」

「(どこにだよ!)」


靴を脱がして、手を引く。そして、お風呂場に隠れさせる。



「(……いいですか?絶対に私がいいと言うまで出ないでくださいね?)」

「(…わかった)」


お風呂場のドアを閉めてから、私は玄関に向かう。深呼吸してから、ドアを開けた。



「こんばんは。どうかしたんですか?」

「さっき、若い男の人を見かけてね。どうやらこちら側に向かって行くのが見えたから、確認をしているのよ」

「そうなんですか…」

「あなたは真面目だから、そんなことはしないと思うけど、一応ね。不審者でも困るから」

「不審者は怖いで…」


すねと言いかけた時、ガタッとお風呂場から物音がした。げっ。



「今、何か音がしなかったかしら?」

「お風呂場にかけていたものが落ちたんですかね。あはは…」


ちょっと何やってるのよ!空気を読んで、静かに待ってるでしょ。普通は。



「ちょっと確認させてもらうわ。失礼」

「お、大家さん…」


大家さんが部屋に上がる。
やばい。このままでは退去させられてしまう。私が連れ込んだわけじゃないのに…。向こうが勝手に来ただけなのに!追い出されたら、責任取って私の住む場所の面倒を見てもらわないと。

大家さんが、お風呂場のドアを開ける。ああ、終わった!



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