Haluku Ⅲ

「…オレにだって」

「はい?」

「オレにも好みがあんだよ!カルロやライみたいに誰でもいいわけじゃねェ!!」

「はあ…」


私にそう言われてもな。別にハルク様の彼女になりたいわけじゃないし。というか、ハルク様の好きなタイプか。

……。
だめだ。想像が出来ない。どんな女の子が好きなのかすらわからない。私ではないことだけは、確かだろう。



「お次のお客様、どうぞ」

「はい。ハルク様、クレープ、決まりましたか?」

「ああ。これとこれ」


よく食べるな。と思ったら、一つはアガットくんの分らしい。いちごチョコクリームといちごWクリーム、どちらも甘いクレープだ。
ハルク様、意外に甘いの好きなのかな?

それからクレープを無事に買い終えて、あまりひと気がない場所を探していたら、空いてるベンチを見つけ、そこに座る。



「アガット。出て来ていいぞ」

「キュッ!」


ハルク様に呼ばれ、アガットくんが姿を見せた。クレープを見るなり、喜んで飛びつく。それを見て、私は可愛いと思いながら見ていた。



「可愛いー。クレープ、おいしい?」

「キュッ!」

「可愛い!私のも食べてみる?」


そう言うと、アガットくんが寄って来た。可愛い。ずっと見てられる。
ちなみに私のクレープは、アーモンドチョコバナナクリームだ。抹茶のも捨てがたかったんだけどね!また来ればいいし。



「お前、本当にアガットには甘いよな…」

「いいじゃないですか!甘やかしたって!ねー?」

「キュッ!」


可愛い。本当にうちで飼いたいくらいだ!アガットくんがいるなら、一人暮らしも楽しいに違いない。ペット欲しいけど、仕事で家にいないから飼えないんだよね。



「そうだ!明日はお休みだから、これからうちに来る?お菓子、作ってあげるよ」

「キュッ!!」

「来てくれるの?やった。沢山作ってあげるね!」

「ちょっ…アガットを連れてくな!」

「あ、ハルク様は来ないでください。家に呼ぶのはアガットくんだけなので」

「……は?」

「私の住んでるところ、一人暮らしをしてる女の人ばかりで男性は家族だけしか入れないんですよ。大家さんが厳しくて。前に隠れて彼氏を何回も入れた人が即退去させられましたから」

「……」


黙るハルク様を放って、私はクレープを再度食べ始める。おいしい。やっぱりここのクレープ、チョコ系もいける!

しばらくして、私達はクレープを食べ終えた。さて、買い物してから帰ろうっと。



「アガットくん、行こうか!」

「キュッ!」


アガットくんが私の肩に乗ってくる。一緒に来てくれるみたいだ!やった。



「それじゃあ、ハルク様。私はここで…」

「家まで送る」

「大丈夫です。まだ明るいですし、買い物もありますから!」

「じゃあ、荷物持ってやるよ」


え。何で??私、別にそういうの求めてないし。沢山買うつもりもない。



「平気です。それでは失礼します!」

「キュッ!」


ハルク様と離れ、走り出す。あのまま一緒にいると、本当に荷物持ちに来ちゃうからね。





その後。
買い物してから、家へと帰って来た。買い物中、アガットくんには鞄の中に入ってもらった。



「ここが私の家だよ」

「キュッ」

「せっかく来てもらったから、お菓子を沢山作ってあげるね!」

「キュッ!!」

「手伝ってくれるの?ありがとう。じゃあ、まずは手を洗おうか!」

「キューッ!」


それから一緒にお菓子作りを開始した。



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