Haluku Ⅲ
「キュッ!」
何かが私の頭に乗っかってくる。鳴き声から使い魔の子。クロッカスくんはリク様の部屋以外では現れないから、きっと…
「アガットくん!」
「キューッ!」
正解といわんばかりに鳴いた。
この子、本当に私のところによく現れるけど、気に入られたのかな?
「キュッ!キュッ!」
「どうしたの?」
「キュッ」
「……。うーん、さてはお腹が空いてるな?」
「キュッ!!」
すると、アガットくんのお腹からくるくるっと鳴った。当たった。
しかし、使い魔の子って、普段は何を食べるんだろう。この子の場合、私のお菓子を食べるから、甘い物は平気なんだろうけど。
私もこの後は上がりだから、買い物してから帰るつもりでいたけど。その前にクレープ屋に行こうかな。
「アガットくん。外には出られるかな?」
「キュー?」
あ、そうか。あまり人がいるところには出られないよね。それなら…
「じゃあ、私がいいって言うまで隠れてもらっていいかな?」
「キュッ」
「よし。その前に着替えてくるから、ちょっと待っててね?」
アガットくんの頭を撫でて、私は一旦、その場を後にする。
数十分後。
着替えを済ませて、荷物を持って、中庭に戻る。
「アガットくん!」
「キュッ!」
私の声にアガットくんが姿を現す。もしかして、誰か来たから姿を消してたのかな。
「待たせてごめんね?一緒にクレープ屋に行こうか!」
「キュッ!」
「狭いけど着くまでの間、鞄の中に入って…」
「そこの誘拐魔、アガットをどこに連れてくつもりだ」
げっ。この声は…。
振り返ると、アガットくんの主であるハルク様がいた。
「誘拐なんてしません!私はアガットくんとクレープ屋に行くだけです!」
「キュッ、キュッ!」
アガットくんも説明してるのか、ハルク様に向かって鳴いていた。それに納得したらしく、私に聞いてくる。
「クレープ屋って、どこにあんだよ?」
「街のところに新しく出来たんですよ。色々種類が豊富らしくて、おいしいと評判なんです。私も一度行きましたけど、とてもおいしかったですよ!」
「オレも行く」
「え?」
「お前とアガットだけだと危なっかしいからだよ」
どういう意味!?失礼な。
そうして、ハルク様とクレープ屋に行くことになったわけで───
街に向かって、一緒に歩くが会話がない。
アガットくんは姿を消しているため、私とハルク様だけ。
気まずい。私、この人と今まで会話という会話をまったくしたこともないから、何を話せばいいのかわからない。
だけど、街まで無言は辛い。アガットくんがいたら、良かったのに!
「……お前さ」
「はい。何か?」
「いや、何でもねェ」
何か言いかけてやめてしまった。ハルク様、何を言おうとしたのだろう?
結局、会話がないまま、街に到着した。辛かった!さてと、気を取り直して、クレープ屋さんは…。クレープの前には行列が出来て、結構並んでる。やっぱり人気なんだろうな。
「ハルク様。私、列に並んでますから、どこか空いてるベンチで座って待っていてください」
「いい。これくらい待つ」
「え!?」
「そんな驚くことかよ」
「い、いえ…」
列を素直に待つようなタイプには見えなかったから、意外だなと思って…。むしろ、行列なんか待てるかとか言うタイプだと。
クレープ屋の列に並んでいながら、何を食べようか考えていた。今日は何にしようかな。期間限定のにしようか?いちご系はこないだ食べたから、チョコバナナにしようかな。トッピングには…
「あそこにいる人、かっこよくない?ほら…」
「え。どこ?…あ、本当だ」
ふと通りかかる女の子達がやたらこちらを見てくる。最初は何かあるのかと思ったが、違うようだ。その視線の先を見てみると、私の隣のハルク様だ。“かっこいい”とか“あんな彼氏がいたら…”とか聞こえてくる。たまに“隣にいる子は何”とか言われるけど、私は彼女じゃないですからねー!間違えないように。
吸血鬼なせいかしら。吸血鬼って、美形なイメージあるし。ハルク様だけじゃなく、兄弟全員イケメンだし。当主もイケメンなのかな?私、まだ会ったことないんだよね。会ったことある子の話だと、リク様に似てるらしいんだけど。
しかし、ハルク様。確かに黙ってるだけなら、ね。
私がジッと見ていたら、視線を感じたのか、ハルク様がこちらに向く。
「……なんだよ」
「いえ、ハルク様はモテるんだなっと思いまして」
「モテたいって思ったことは一度もねェけど。お前はモテなさそうだよな…」
「む、モテなくて、結構です!私にはリク様という素晴らしい御方がいますから!ハルク様は彼女とか作らないんですか?」
「今そんな気分じゃねェし」
そんな気分じゃない?ああ、そうか。この外見なら困らないもんね。より取りみどりの選び放題だよね。やっぱり相手は吸血鬼───
.
何かが私の頭に乗っかってくる。鳴き声から使い魔の子。クロッカスくんはリク様の部屋以外では現れないから、きっと…
「アガットくん!」
「キューッ!」
正解といわんばかりに鳴いた。
この子、本当に私のところによく現れるけど、気に入られたのかな?
「キュッ!キュッ!」
「どうしたの?」
「キュッ」
「……。うーん、さてはお腹が空いてるな?」
「キュッ!!」
すると、アガットくんのお腹からくるくるっと鳴った。当たった。
しかし、使い魔の子って、普段は何を食べるんだろう。この子の場合、私のお菓子を食べるから、甘い物は平気なんだろうけど。
私もこの後は上がりだから、買い物してから帰るつもりでいたけど。その前にクレープ屋に行こうかな。
「アガットくん。外には出られるかな?」
「キュー?」
あ、そうか。あまり人がいるところには出られないよね。それなら…
「じゃあ、私がいいって言うまで隠れてもらっていいかな?」
「キュッ」
「よし。その前に着替えてくるから、ちょっと待っててね?」
アガットくんの頭を撫でて、私は一旦、その場を後にする。
数十分後。
着替えを済ませて、荷物を持って、中庭に戻る。
「アガットくん!」
「キュッ!」
私の声にアガットくんが姿を現す。もしかして、誰か来たから姿を消してたのかな。
「待たせてごめんね?一緒にクレープ屋に行こうか!」
「キュッ!」
「狭いけど着くまでの間、鞄の中に入って…」
「そこの誘拐魔、アガットをどこに連れてくつもりだ」
げっ。この声は…。
振り返ると、アガットくんの主であるハルク様がいた。
「誘拐なんてしません!私はアガットくんとクレープ屋に行くだけです!」
「キュッ、キュッ!」
アガットくんも説明してるのか、ハルク様に向かって鳴いていた。それに納得したらしく、私に聞いてくる。
「クレープ屋って、どこにあんだよ?」
「街のところに新しく出来たんですよ。色々種類が豊富らしくて、おいしいと評判なんです。私も一度行きましたけど、とてもおいしかったですよ!」
「オレも行く」
「え?」
「お前とアガットだけだと危なっかしいからだよ」
どういう意味!?失礼な。
そうして、ハルク様とクレープ屋に行くことになったわけで───
街に向かって、一緒に歩くが会話がない。
アガットくんは姿を消しているため、私とハルク様だけ。
気まずい。私、この人と今まで会話という会話をまったくしたこともないから、何を話せばいいのかわからない。
だけど、街まで無言は辛い。アガットくんがいたら、良かったのに!
「……お前さ」
「はい。何か?」
「いや、何でもねェ」
何か言いかけてやめてしまった。ハルク様、何を言おうとしたのだろう?
結局、会話がないまま、街に到着した。辛かった!さてと、気を取り直して、クレープ屋さんは…。クレープの前には行列が出来て、結構並んでる。やっぱり人気なんだろうな。
「ハルク様。私、列に並んでますから、どこか空いてるベンチで座って待っていてください」
「いい。これくらい待つ」
「え!?」
「そんな驚くことかよ」
「い、いえ…」
列を素直に待つようなタイプには見えなかったから、意外だなと思って…。むしろ、行列なんか待てるかとか言うタイプだと。
クレープ屋の列に並んでいながら、何を食べようか考えていた。今日は何にしようかな。期間限定のにしようか?いちご系はこないだ食べたから、チョコバナナにしようかな。トッピングには…
「あそこにいる人、かっこよくない?ほら…」
「え。どこ?…あ、本当だ」
ふと通りかかる女の子達がやたらこちらを見てくる。最初は何かあるのかと思ったが、違うようだ。その視線の先を見てみると、私の隣のハルク様だ。“かっこいい”とか“あんな彼氏がいたら…”とか聞こえてくる。たまに“隣にいる子は何”とか言われるけど、私は彼女じゃないですからねー!間違えないように。
吸血鬼なせいかしら。吸血鬼って、美形なイメージあるし。ハルク様だけじゃなく、兄弟全員イケメンだし。当主もイケメンなのかな?私、まだ会ったことないんだよね。会ったことある子の話だと、リク様に似てるらしいんだけど。
しかし、ハルク様。確かに黙ってるだけなら、ね。
私がジッと見ていたら、視線を感じたのか、ハルク様がこちらに向く。
「……なんだよ」
「いえ、ハルク様はモテるんだなっと思いまして」
「モテたいって思ったことは一度もねェけど。お前はモテなさそうだよな…」
「む、モテなくて、結構です!私にはリク様という素晴らしい御方がいますから!ハルク様は彼女とか作らないんですか?」
「今そんな気分じゃねェし」
そんな気分じゃない?ああ、そうか。この外見なら困らないもんね。より取りみどりの選び放題だよね。やっぱり相手は吸血鬼───
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