Riku Ⅰ
【おまけ】
数日後。
中庭を歩いていたら、使い魔の子を見つけた。
リク様の使い魔のクロッカスくんではないよね。他の兄弟達の使い魔の子かな?
でも、この子、私が近づいても逃げない。私に「キュッ?キュッ?」って近づいてくる。人見知りしない子なのかな。頭を撫でてみたら、気持ちいいのか目を細めた。
しかし、誰の使い魔なのかわからない。何かわかりやすい印はないだろうか…。
そういえば、リク様の使い魔のクロッカスくんは目の色が紫だったけど、この子は…赤だ。真っ赤ではないみたいだけど。薄いというか、もう片方の目はピンクに近い……オッドアイなのかな。
「どうしたの?」
「……キュッ」
その子が私に何か訴えてくる。
どうしよう。何を言っているか全然わからない…。
「ん?」
よく見ると、その子は足を怪我していた。毛の色でわかりにくいけど、血が出てる。
うーん、人間用の消毒液を塗るわけにいかないよね。ひどくなってもかわいそうだし。
私はポケットからティッシュを取り出した。それで血を拭き取り、傷口に小さく折ったティッシュをあて、ポケットに一緒に入っていた包帯を小さく切って、巻いてあげた。
「キューッ!」
すると、その子は飛び跳ねるくらい喜んでいた。
「痛くないかな?」
「キュッ!!」
私の言葉がわかるのかな。もう大丈夫と言ってるように聞こえた。鳴き声だけなのに。不思議だ。
「良かった。あ、そうだ。これ、食べれるかな?」
昼間に作ったクッキーを半分に折って、その子に差し出す。最初は匂いを嗅いでいたけど、パクッと口に入れて、食べた。
「キューッ!キューッ!」
「おいしい?なら、良かった!」
「キュッ!キュッ!」
「まだ欲しいの?」
「キュッ!」
私のクッキーを気に入ったのか、その子はクッキーをすべて平らげてしまった。
「そんなに気に入ってくれたんだね。また作ってあげるね?」
「キュッ!」
頭を撫でると、もっと撫でてと言わんばかりに差し出してくる。
可愛い!もう飼いたいくらい。
でも、この子の飼い主?ご主人は誰なんだろう?タスク様とかかな?
なんて考えていたら───
「アガット」
そう呼ぶ声がした。
すると、私の前にいた子が呼ばれた方へ行ってしまった。
げっ。あの子、あの人の使い魔なの…。
現れたのは、ハルク様だった。
会ったのは、私があの人に噛まれて以来だわ。
「お前、アガットに何かしたの?」
む、何かしたって…!
まるで私がいじめたみたいに言ってくるんだけど。
「してません。怪我をしていたから、手当てしただけです!あと…」
「あと…なんだよ?」
「私の作ったクッキーをあげただけです」
すると、さっきの子が彼に説明しているように鳴いていた。言葉がわかるのか、彼もそれでようやく納得したらしい。何か解せない!
「ふーん…」
何故か私をジーっと見てくる。私の顔に何かついてるわけ?
「何かご用ですか?」
「……別に」
そう言って、使い魔の子を連れて、去って行った。
結局、何だったの?考えるだけ無駄か。
すると、使い魔のあの子が私に向かって、鳴いていた。何かまたねと言ってるような…?
そんな気がしたから、私は手を振った。
「……またね。アガットくん」
【END】
数日後。
中庭を歩いていたら、使い魔の子を見つけた。
リク様の使い魔のクロッカスくんではないよね。他の兄弟達の使い魔の子かな?
でも、この子、私が近づいても逃げない。私に「キュッ?キュッ?」って近づいてくる。人見知りしない子なのかな。頭を撫でてみたら、気持ちいいのか目を細めた。
しかし、誰の使い魔なのかわからない。何かわかりやすい印はないだろうか…。
そういえば、リク様の使い魔のクロッカスくんは目の色が紫だったけど、この子は…赤だ。真っ赤ではないみたいだけど。薄いというか、もう片方の目はピンクに近い……オッドアイなのかな。
「どうしたの?」
「……キュッ」
その子が私に何か訴えてくる。
どうしよう。何を言っているか全然わからない…。
「ん?」
よく見ると、その子は足を怪我していた。毛の色でわかりにくいけど、血が出てる。
うーん、人間用の消毒液を塗るわけにいかないよね。ひどくなってもかわいそうだし。
私はポケットからティッシュを取り出した。それで血を拭き取り、傷口に小さく折ったティッシュをあて、ポケットに一緒に入っていた包帯を小さく切って、巻いてあげた。
「キューッ!」
すると、その子は飛び跳ねるくらい喜んでいた。
「痛くないかな?」
「キュッ!!」
私の言葉がわかるのかな。もう大丈夫と言ってるように聞こえた。鳴き声だけなのに。不思議だ。
「良かった。あ、そうだ。これ、食べれるかな?」
昼間に作ったクッキーを半分に折って、その子に差し出す。最初は匂いを嗅いでいたけど、パクッと口に入れて、食べた。
「キューッ!キューッ!」
「おいしい?なら、良かった!」
「キュッ!キュッ!」
「まだ欲しいの?」
「キュッ!」
私のクッキーを気に入ったのか、その子はクッキーをすべて平らげてしまった。
「そんなに気に入ってくれたんだね。また作ってあげるね?」
「キュッ!」
頭を撫でると、もっと撫でてと言わんばかりに差し出してくる。
可愛い!もう飼いたいくらい。
でも、この子の飼い主?ご主人は誰なんだろう?タスク様とかかな?
なんて考えていたら───
「アガット」
そう呼ぶ声がした。
すると、私の前にいた子が呼ばれた方へ行ってしまった。
げっ。あの子、あの人の使い魔なの…。
現れたのは、ハルク様だった。
会ったのは、私があの人に噛まれて以来だわ。
「お前、アガットに何かしたの?」
む、何かしたって…!
まるで私がいじめたみたいに言ってくるんだけど。
「してません。怪我をしていたから、手当てしただけです!あと…」
「あと…なんだよ?」
「私の作ったクッキーをあげただけです」
すると、さっきの子が彼に説明しているように鳴いていた。言葉がわかるのか、彼もそれでようやく納得したらしい。何か解せない!
「ふーん…」
何故か私をジーっと見てくる。私の顔に何かついてるわけ?
「何かご用ですか?」
「……別に」
そう言って、使い魔の子を連れて、去って行った。
結局、何だったの?考えるだけ無駄か。
すると、使い魔のあの子が私に向かって、鳴いていた。何かまたねと言ってるような…?
そんな気がしたから、私は手を振った。
「……またね。アガットくん」
【END】
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