Alice Ⅰ
数分後。
パンケーキが焼け、お皿の上に何枚かクリームを間に塗りながら積み重ね、一番上にクリームやフルーツを沢山乗せた。
「はい、アガットくん」
「キュッ!!」
それをアガットくんの前に置くと、嬉しそうに喜んだ。可愛いなー!フォークを渡すと、お行儀良く食べ始めた。
可愛い。何だこの生き物は!色々と作ってあげたくなってしまうじゃないか。
「なあ。オレのは?」
「え?」
アガットくんの可愛さにすっかり忘れていた。この人のことを。
「……。アガットには出してるけど、オレの分は?」
「え、食べるんですか??」
「当たり前だろ!そんなに驚くことかよ…」
「口に合うかわからないですよ?」
「いいから早く!腹減った」
まだ生地も残ってるから作るけど、口に合わなくても知らないわよ。こんなの食えるか!…って、皿を投げつけられたら、どうしようかしら。私、クビにされる?
「お前、オレのことをそんな風に思ってるのかよ。……昔食べたことあるから、口に合わないわけねェし」
「何か言いました?」
「早くしろ。ノロマって言ったんだよ」
ムカつく!もう何なのよ!
数分後。
アガットくんと同じように何枚かを積み重ね、間にはクリームを塗った。一番上にはクリームと苺を沢山乗せた。
「……どうぞ」
「お前、これ…」
「何か?嫌いなものでもありました?」
「いや、そうじゃなくて」
苺が一番好きと言っていたから、わざわざ苺を乗せたのに。間にもスライスした苺も入れたし。
……ん?私、何でそう思ったの??好みなんて聞いたことないのに…。
「……わかんねェならいい…」
「はあ…」
そう言って、ハルク様は黙々とパンケーキを食べ始めた。結局、何が言いたかったのかな?ま、いいか。私が気にすることじゃない。
さて、今度は自分の分を作ろっと!
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