序章 side H

【side C】










「まさか本当にあるなんて思わなかったな。運命の血も、毒の血も」



しかも、一人の人間の少女の血が、二人の吸血鬼によってこうも違うとは…。


リクには毒で、ハルクには極上。

同じ兄弟でこうも分かれるなんてね。



しかし、運命は残酷だね。


リクは恋人の血が飲めない。

自分は飲みたくても飲めないのに、恋人には自分以外の誰かの運命の血になってしまうなんて。


反対にハルクは滅多に見つかることのない運命の血が見つかったのに、相手からは拒否されて。





「かわいそうな弟達…」



愛する女の血が毒なリクも、

運命の血が見つかったのに拒否されるハルクも。





でも、一番ひどいのは彼女だ。

二人の吸血鬼を狂わせているんだから。










「本当に君はひどい人間だね、アリス…」



これだから人間は嫌いなんだよ。僕達に比べたら、圧倒的に劣る下等生物のくせに…。





【END】
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