序章 side A

好きな人と両想いになった。幸せだった。
そんな時、彼が私にある秘密を打ち明けてきた。





「実は僕、人間じゃないんです。本当は吸血鬼なんです」

「……吸血鬼」

「はい。言わない方が良かったのかもしれません。でも、僕はあなたに嘘はつきたくなかったんです」



黙っていることも出来たのに、彼は話してくれた。
私のために。優しい人だ。





「私はそんなあなただから、好きになったんです。人間じゃなくても構いません。私と一緒にいてください」

「アリスさん…」



私達は抱き合い、唇を重ねた。

たとえ吸血鬼と人間でも互いを愛し合えるなら、一緒にいられると思った。


でも、運命は残酷だった。




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