Doll 8ーGirl of time
「はあ……」
眠れずにただ、外を見つめる。
雨が強く窓を叩く……
コトン──
外で音がした。
窓を開けると、屋根の下にハルクがいた。
「何してるの?風邪引くよ」
「……悪かったな」
「え?」
「まだ、言ってなかったからな」
「何の事──」
「あんなもん見たくなかったよな」
ラセンとのキスの事を言ってると理解した。
「そんな言い方──」
「アイツ、普段は人前であんな事しねェから、油断してた」
人前では……?
二人きりの時はするんだ。
そうだよね。
当たり前じゃない、二人は──……
私、何でこんな事を考えてるんだろう……
「悪かったな、ホント」
二度目は真っ直ぐ私の目を見て言った。
「な……んでハルクが謝るの?」
「ラセンの代わり」
「そんなの……いらない!」
そう言って、窓を乱暴に閉めた。
──胸が苦しくて、でもドキドキしてる。
訳も分からずにただ、辛い……
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