Doll 8ーGirl of time
「さて、と」
寝静まった深夜、リクの部屋に集まった。
まだ残る気まずさ……
私とハルクは端と端に座っていた。
「セツナ、説明を頼む」
「説明するまでも無い。Arice・Dollが進化をした」
「あの赤ん坊だろ?」
「それだけじゃないんだよ、ハルク」
「まだあるのか?」
「負の封印が解けた」
「それって、Arice・Dollの?」
「アリス、お前の頭は機能しているのか? Arice・Dollは既に存在しているだろう」
セツナは冷めた目で私を見る。
「そう……だよね……」
「ふざけんじゃねェぞ!!」
と、いきなりタスクさんが机を思い切り叩いた。
「セツナ、何でそれを早く言わねェ!!」
「タスク……お前に話す義理は無いが?」
セツナはタスクさんを突き放す。
「そうそ。ろくに仕事もしないで──」
「あんたら兄妹にオレっちの何が分かんだよ」
今度はタスクさんがセツナに掴みかかる。
「やめて、タスクさん!」
「セツナもいい加減にしろよ」
私とハルクが止めに入る。
「離せ、ハルク。この機会にきちんと調教──」
「場所を考えろってんだよ」
「……頭を冷やしてくる」
「ちょ、兄貴!」
セツナとラセンは窓から飛び出していった。
「アンタもアンタだ」
「ハルク。お前にもオレっちの気持ちが分かってたまるかよ」
「あの──」
「お前ら全員、出てけ」
タスクさんの目は微かに涙で濡れていた。
「リコリス──……」
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