Doll 8ーGirl of time
──姉さん、一緒に勉強しない?
……リクは左利きだった。
両利きではなくて、左だけ。
──見ろ!
もう、アイツはリクじゃねェ!
……切断された所から見えたもの……
それこそが“ドール”だった。
「アリス、大丈夫か?」
目を開小さく頷いた。
「特別に慰めてやる」
そう言って、私を胸に抱き寄せた。
「あ、あの」
「静かに、な」
タスクさんの視線を追う。
と、ハルクがベッドの逆側で眠っていた。
「アリスと入れ替わりで眠ったつーかさ」
「……はい、分かってます」
小声で言った。
「ありがとな……それと、ゴメン」
「え?」
「弟の事」
「…………」
私は答えられなかった。
「まさか、あんなに──」
「助からないんですか……?」
声が震える。
涙は懸命に堪えた。
「そうだな……Alice Glassが見付かれば……っ」
そう言いながら、タスクさんは悔しそうに拳を握り締めた。
「助けたい人がいるんですか?」
思わず聞いてしまった。
「アリスの大切な弟なんだ、当たり前だろ」
本当にそれだけ?
と、心にわだかまりが残る。
「この理由で一緒に戦うのは変かねぇ~」
「いえ、ありがとうございます!」
「どう、いたしまして」
タスクさんが私の髪をクシャクシャする。
この優しい手は、嫌いじゃない。
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