Prologue
「リク……どこ?」
「……言わんこっちゃねェ」
「ねえ、リクはどこ?」
「ボクがリク……ダヨ」
「……違う! リクは……リクは、こんなことしない……っ!」
「諦めろ。アイツはもう、リクであって“リク”じゃねェ」
「……じゃあ、誰?」
リクはリクだよ!
心の中で必死に叫ぶ。
「…………」
「ねえ、誰なの!?」
「アイツは――」
「“Arice”ダヨ」
「…………え……」
私と同じ名前……?
「ただし造られた、ネ」
リクは、“心ーイノチー”を取り出して見せた。
その“心ーイノチー”は真っ黒だった。
「リクは…………どうなったの?」
「死んだ」
躊躇う事なく、リクが言った。
「…………死……?」
目の前にいるじゃん……
生きているじゃない──
「絶望に怯える表情、たまらないよ」
「アリスに触るな──」
「!」
リクが私に触れた。
と、リクが苦痛に顔を歪めた。
「リク、大丈──」
「そうか、そういうことか……アヒャハハハハ!」
「な、何……?」
何が起こったのか、私には分からなかった。
「実に興味深いよ、アリス」
「え?」
「おい、バケモノ。アリスに一目惚れか?」
「ヒトメボレ?……何それ、オイシイノ?」
「……ふざけんじゃねェ……」
リクは上機嫌で笑いながら言った。
「マタネ、アリス」
「待っ──」
リクは、煙の中に消えてった。
ううん。
“アレ”はリクじゃない……
「…………て…………リクを返してよぉ!!」
夢であってほしい……
ねえ、夢なら覚めて……
悪夢を終わらせて──
Prologue....END....
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