Doll 6-Scratch of the contract
「じゃ、帰るか」
放課後、ハルクが言った。
不思議と授業中は体調が安定していた。
「日誌、提出してから帰る……」
「こんな時くらい、相方に任せりゃいいだろ」
「誰かさんと一緒でサボり」
「ああ、アイツか」
リゼル……
あの日以来、また来なくなった。
先生は私なら日直もこなせるだろうって。
頼られるのは嬉しいし、日直の仕事も嫌いじゃない。
「ハルクは先に帰ってていいよ」
「いや、待ってる」
「誤解されたら、どうするの?」
「誰がすんだよ」
時間は7時を回っていた。
部活動をしていた生徒達も既に下校しているはずだ。
「……行ってくるね」
「早く行けっての」
「……!」
あれ……
足に力が入らない──
「おい、何やって……アリス? しっかりしろ!」
何か……疲れた。
動きたく……ないよ──……
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