Doll 6-Scratch of the contract




「やっぱり無いのかな……」
「一度見て無きゃねェんだよ」
「海外コーナーじゃなくて、日本かも……」
「って、この量を探すのか?」
「あ行は……っと」
「暇人だな、お前……」
「煩いってば!」


図書室で本を探して数十分。
ハルクも一緒に探してくれるかと思いきや、横で文句ばかり。
何の為の「一緒に行く」だったのやら……


「オレも此処に用事あっただけだっての」
「へ──?」
「お前、顔やら態度やらに出すぎなんだよ」
「ハルクが居ない時にゆっくり探す」


心を読まれたかと思って間抜けな声を出しちゃったじゃない!


「んじゃ、オレも行くかな」
「な、何で!」
「そりゃあ、学校だし?」
「サボってばかりじゃない」


言い合いながら、肩を並べて歩く。

ドキドキが、まだ鳴り止まなくて、リクとすれ違った事にも気付かなかった──



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