Doll 5-Man who returned
「おい」
「え……?」
「何、ボサっとしてんだよ」
「ハルク…………スージィが……クラリスが……」
「落ち着けよ。コイツ等はArice・Dollに操られてるだけの死体だ」
ハルクは拳で死体を跳ね除ける。
死体は苦しそうに藻掻く。
「……トドメ、刺してやる」
「やめて!!」
ハルクにしがみついて拳を止めようとする。
「アイツ等は、こんな醜い姿じゃねェだろ!!」
私はハッとなる。
「……一緒にしたら、可哀想だろうが」
ハルクは拳を振り上げた。
「おりゃぁぁあああ!!」
ドス──
「なっ……後ろ……?」
「いやぁぁあああ──」
死体の腕がハルクの腹部を貫いていた。
「うぁ……がっ」
ハルクは脇腹を押さえたまま気絶してしまう──
私は震える足で、ハルクを庇うように立つ。
と、死体4体が私達を囲む。
そして、一気に襲い掛かる──
「アリス!」
「タスクさん、あの……」
タスクさんが剣を構えて走ってくる。
死体は逃げて行った。
「遅かったか……いや、まだ近くに居るな。ハルクのヤツ、こんな時によく寝てられんなあ」
「違うの! ハルクは──」
「アリスを守ったんでしょ?」
タスクさんが優しく頭を撫でてくれる。
「それで?」
「……ハルクの血が止まらない……」
それどころか血が紫色へと変色していく。
「毒だね、きっと」
「どうしよう──」
「どーすんの?……このままじゃハルク、死んじゃうよ」
「お願い、助けて!」
「……もう、助かんないかもね。それどころか……ハルクもDollとなって操られちまう……」
「助かる……方法は?」
タスクさんが私にガラスの破片を握らせた。
意味するものは、一つしかない……
「……契約以外の方法はないの? タスクさんなら、ハルクを助けられるんじゃ──」
「助けられるもんなら助けてんだよ!」
タスクさんが私の胸ぐらを掴む。
「……契約は……契約は、異性じゃなきゃ出来ねぇんだよ!!」
タスクさんは泣いていた。
「苦し──」
「……ゴメン。でも一つだけ言わせてな。ハルクが消えるとArice・Dollを倒す戦力が減るんだよ」
「戦力って、そんな言い方──」
「アンタが言える台詞じゃないよな?」
「え──」
タスクさんの顔から、いつもの無邪気さが消えた。
何だか怖い……
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