Doll 5-Man who returned




ゴス──

「いたた…………夢──?」


リクの声が耳に残っている気がした。

そして放課後、図書室へ向かう。


「無いなあ……」


本棚の本を一冊ずつ指で追っていく。


「ねえ、探し物?……探すの手伝ってあげよっか?」
「結構です」
「そんな事言わずにさ」


腕を掴まれる。


「一人で探せますから」


手を振り払おうと顔を上げる。


「あ……」


ここで前に会った。
軽そうな男の人、タスクさんだったんだ。


「オレっちとアリスの仲じゃん」
「タスクさん……ハルクと一緒だったんじゃ?」
「……Arice・Dollの気配を追ってった。オレっちにアリスを任せてね」
「大丈夫なんですか?」
「オレっち、強いよ」


ハルクといい、どうして自分をこう高く評価するんだろう……


「タスクさんじゃなくて、ハルク──」
「アイツも強いよ。契約さえすれば、ね」


また、“契約”──
いい加減、溜め息しか出なくなってしまう。


「タスクさんは契約したんですか?」
「…………」


タスクさんは何も答えない。


「タスクさんだって、契約してないじゃないですか」
「……してるよ」


そう言ったタスクさんの声は震えていた。


「正確には、してた……かな」
「どういう意味ですか?」
「ソイツな、オレっちの大切な人」
「私の傍に居ていいんですか?  その人の所に──」
「居たいよ。でも、無理なんだ……」
「どうして──」
「オレっちが弱かったから……もう、過去の話」
「今は強いって言ってたじゃないですか!」
「アリス。もう……この話は禁句、な」
「……ごめんなさい……私」
「何でアリスが謝まんの?……オレっちが話したいって思ったから話しただけ」


タスクさんは遠くを見つめて寂しそうに笑った。


「……聞いてくれて、ありがとな」


夕日を纏ってタスクさんの笑顔は更に寂しさを増す。

きっと、誰かを見てるんだ……
私は静かに立ち去った。



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