Doll 5-Man who returned




「あれ?」


翌日──
学校にハルクは居なかった。
タスクさんと出掛けたのかな。


「おはよう……」


教室に入ると、たわいない会話が聞こえてくる。


スージィとクラリス。
次第に薄れていく存在が悲しくなる。
段々、“そういえば居た”になってしまう。
……私は忘れない、忘れたりしない──


「はあ……」


昼休み、お弁当を持って屋上に行く。

空を見上げれば青空。
時折、雲が太陽を隠す。


「何だ、お前もサボりかよ」
「お昼。見て分かるでしょ」
「もう、そんな時間か」


時計の裏からハルクが顔を出す。


「……タスクさんと一緒だと思ってた」
「あの人は野良だからな」
「野良?」
「自由、野良猫な」
「……ハルクは何してるの?」
「サボりだって言っただろ」
「ずっと、ここに居たの?」
「飽きたんだよ、悪いか?」
「じゃあ、学校に来なきゃいいのに」
「Arice・Dollが来たら、どーすんだよ。戦えもしねェくせに」


当たっているだけに悔しい……
勝ち誇ったような顔までして……


「タスクさんに来てもらおうかな」
「はい?」
「タスクさんの方が強いし頼りになりそうだし、高校生だって言っても違和感ないし」
「そうだよ。何もかも、あの人の方が上……何一つ敵いやしねェ」
「ごめん……そんなつもりじゃ……」
「だからこそ尊敬してんだよ」


タスクさんの事を話すハルクの瞳は輝いていた。


「何、見てんだよ」
「見てなんか──」
「弁当、食わねェなら……」
「食べるよ!」
「ハム巻き貰いっと」
「ちょ、それ私の大好物──」
「美味いな、コレ」
「当たり前でしょ。ママに教わって作ったんだから」
「……何か、懐かしい感じだ」
「お袋の味っていうやつなのかな?」
「のんびりしてていいのか?  午後の授業、始まる」
「ハルクこそ」
「サボる」
「……言ったって聞かないもんね」
「当たり前。お前より頭もいいだろうしな」
「嘘!?」
「嘘。オレ様に勉強なんか必要ねェんだよ」


ハルクの相手をして、休むどころか余計に疲れたような気がする。



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