Doll 5-Man who returned
「オレっち、こう見えてもハタチなんだよねぇ」
二階に上がるとタスクさんが言った。
「見えないっしょ?」
「はい」
私が答えると、「やっぱり~」とタスクさんは笑った。
「どうぞ」
ドアを開けて、部屋の中に入る。
「ふーん……」
タスクさんは荷物を置いて、ベッドに座ると部屋を見回す。
「本ばっかでつまんねーの」
「……リクの部屋だもん……」
「何か言った?」
「ううん……」
「今日からココがオレっちの部屋ねぇ」
「……自由に使って下さいね……」
私は嘘つきだ。
本当はリクの部屋に誰も入れたくない……
触らせたくないし、何一つ変えられたくない。
パパとママの笑顔を久しぶりに見た。
――言えなかった。
彼氏なんかじゃない……言えなかった。
「うわ……こんな英語ばっかの読めねぇぞー」
タスクさんは本を投げ置く。
と、本棚に当たりドサドサと本が落ちた。
「やっべ」
「私が取ります!」
慌てて本を拾う。
そして一冊ずつ本棚に戻す。
「アリス、ありがとな」
「……うん」
“アリス”
この部屋では、そう呼ばれた事なんか無かった──
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