Doll 4-Boy of the lost child
見上げると、一人の男が血のついた剣を鞘にしまう所だった。
逆光で顔はよく見えない……
ドサ──
「何で……だよ……」
「……ケインくん? 喋らないで、今──」
「血が出てんのに……痛くないんだよぉ!」
ケインくんが禍々しい煙を纏い立ち上がる。
「お前、殺──」
「まだ、生きていたか……これで楽にしてやるさ」
「まさか──」
男は鞘から剣を抜いて、振りかぶる。
「ダメぇー!!」
ドス──
「あぅ……」
「ケインくん!」
ケインくんはお腹を押さえたまま倒れた。
……呼吸はしていない……
私はケインくんを抱き締めた。
「クゥン……」
「……ダイゴ?」
ダイゴは老犬になっていた。
もしかしたら、本来の姿なのかもしれない。
「……クゥン……」
私は、ケインくんをそっと寝かせた。
すると、ダイゴはケインくんに寄り添って静かに目を閉じた。
ダイゴは寿命を終えたんだ……
涙が溢れてくる……
「ゴメンね……助けてあげられなくって……ゴメンね……っ」
「いや、少年はこれで救えたんよ。ワンコもな……」
そう言って、彼は私の頭にポンッと手を置いた。
何でだろう……
この温かい手に救われた気がする……
自然に涙が溢れてくる──
「誰だ、お前?」
「ハルク。お前、やっぱ甘すぎだよ」
「あ、あなたは……」
「久しぶり、だな。オレっちの事を忘れたとか言わせねーぜ」
「タスクさん──?」
「ピンポーン」
「……ハルクの知り合い?」
あれ?
この人……
どこかで──
Doll 4-Boy of the lost child....END....
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