Doll 4-Boy of the lost child
「休みなのに……」
ハルクと通学路を歩く。
しかも、制服。
私は、一睡も出来なかった事を後悔した。
「恋人に見られたら最悪だな」
「お互い様じゃない……それで、学校まで行くの?」
「行かねェよ。そんな必要もねーし」
「何それ──」
言い掛けた時、背後に気配を感じた。
「ケイン……くん?」
と、犬のダイゴだった。
「よォ、アリス!……と、負け男」
「ハルク、大人気ない事は──」
今日のハルクは冷静だった。
「あれれ? 言い返さねーの? つまんねー」
そう言って、ケインくんは私たちに背を向けた。
「行こうゼ、ダイゴ」
「待てよ、ガキ。知りたい事が──」
「昨日のこと? それなら言えないよ」
ケインくんの肩は、僅かにだけど震えていた。
言えないんじゃなくて、“思い出したくない”のかもしれない……
「うっ……」
ケインくんに異変が起きる。
「痛い……頭……腕が……っ!」
「ハルク……ケインくんが──」
私の言葉より早く、ハルクはケインくんの前にいた。
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