Doll 4-Boy of the lost child




「……気のせいかな?」


誰かに呼ばれた気がした。


「男の子も見付からないし……これ、どうしよう……」
「あーっ! ダイゴの首輪返せ!」
「きゃあ!」


男の子が後ろから、私にいきなりタックルをしてきた。


「盗むなんて油断も隙もねーな……」
「盗んでなんか……あれ、犬が見付かったんだね」
「まあね」
「その子がダイゴ?」
「見りゃ分かるじゃん」


男の子はダイゴに首輪を付ける。


「ダイゴ、可愛いね」


と、ダイゴに手を伸ばすと威嚇するような唸り声を上げた。


「どうした、ダイゴ!」
「ごめん、私が触ろうとしたから……」
「コイツ、人見知りとかねーし……なあ、腹減ってんのか?」
「……お前、いいヤツだな!」


そう言って男の子は「ありがとな」と無邪気に笑った。

「オレは、ケインって言うんだ。また今度、ゆっくり話そうな!」
「うん」


私は男の子と別れた。


「あのガキ、犬を見付けたみてぇだな」
「ハルク、現場に行ってたの?」
「ん、ああ……そんなトコだな」
「何か、隠してる?」
「別に……隠してねェよ」
「じゃあ何?」
「……あの人が来てる……」
「あの人って誰?」
「さあな。オレも確信がある訳じゃねェし、暫く会ってもねェ」


ハルクは空を見上げて呟いた。


「元気なら、それでいい……」


その表情は、どこか寂しげに見えた。
“あの人”は、ハルクにとって大切な人なんだね──



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