Doll 27-Intruder




リゼルは倒れている、ティーデを抱き起こした。


「すげぇ、ボロクソ。誰かに殺られたのか?」
「その汚ねぇ手、離せ」
「……テメェは……」
「言っとくけど、今は殺る気ねぇよ。ティーをそんな目に遭わせたのがお前じゃなけりゃな、ははっ」


ドラージュの笑い声は殺気に満ちている。


「女相手にこんなにやるかよ……少し前の俺なら殺るかも、か」
「何ブツブツ言ってんだよ」
「俺も殺る気ねぇって言っただろ。早く引き取れや」


リゼルとドラージュの視線が不意にぶつかる。


「そういや、お前」
「あ?」
「アリスに気があんだっけ? はは、ライバルってやつ?」
「何言ってんだ、テメェ」
「ボクは気になってるよ? ボクの心に引っ掛かりを作った、アリスがさ」


そう言うと、ドラージュはティーデをリゼルから奪うように抱き抱える。


「お前次第で手を組むし、排除だってする」
「テメェ……!」
「ボク自身も驚いてんの。今までは一匹狼ならぬ、ツインだったのにさ。きっと、ティーも同じだぜ?」


ドラージュは髪をかき上げる仕草をする。


「おっと。もう無いんだった、はははっ! 今のボク、“男”だから」


そう言うと、ドラージュは消えた。


「……何だったんだよ……」


溜め息一つ、リゼルは呟く。


「一匹狼、か……」



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