Doll 27-Intruder
“少し出掛けてくるね”
そう言って、ラセンは出て行った。
私の脳内に色んな違和感が駆け抜ける──
“マフィン”
“弟”
“男の子”
“知らないのに知っている部屋”
「……ラセンがうちに来たのは、つい最近って聞いた……」
それじゃあ、どうして……?
私は恐る恐る、“ラセンの部屋”のドアを開ける。
──綺麗なのに真新しさのない机。
誰かが使っていたの?
誰……?
「リク……」
言った後にハッとした。
誰……?
知らない…………“リク”なんて。
知らない、知らない……知らな……
──知ってる……でも、分からない──
分からない……分からない、分からない……
「分かんない──!!」
家中に自分の声が響き渡ると同時に酷い目眩に襲われた。
「……ったく、世話の焼けるヤツだな……」
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