Doll 3-Parting footsteps
「ぐふっ……」
リクが仰け反って黒い塊を吐き出した。
黒い塊は溶けて消えていく。
「勝ったの?」
リクが笑顔を見せた。
「リク!」
私は嬉しさのあまり抱き付いた。
そして、リクの温もりを肌で感じる。
リクは、私の頭を優しく撫でてくれた。
「リク……」
思わず涙が溢れて私は泣いた。
リクは私が泣き止むまで頭を撫でていてくれた。
「姉さん、ありがとう」
「お礼を言わないといけないのは私だよ」
リクは答えず笑顔を見せたが、私には泣いているように見えた。
「ねえ──」
「先ずはシリアと、クラリスさんの……」
言い掛けてリクは口を押さえる。
「どうしたの?」
「…………ダ……」
「大丈夫? 顔色が……」
「……姉さん」
「なに?」
「もし、もしも僕がArice・Dollに呑み込まれてしまった時は……」
──殺してよ──
「何……それ……」
「だけど姉さんの手は汚したくないから上手く事故に誘導してさ」
「バカにしないで!」
私はリクを抱き締めた。
「リクが好きなのに出来るわけないでしょ……」
「姉さん……」
リクの手が私の背中に触れる。
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