Prologue Ⅲ
「──やっぱり来てくれた」
「だって……ずっと居るから……」
「うん、何時間だって待つつもりだった」
青かった空は、もう茜色に染まっていた。
「あなたは一体……」
「あたしはラセン。あんたの友達。訳あってアリスの部屋の隣に居候中」
「……友達?……ごめんなさい、覚えていなくて……」
「いいの、いいの。こうして来てくれたんだから」
「けど、隣の部屋ならわざわざ下からじゃなくても……」
「あんた、ノックだけじゃ開けてくれなそうだもん」
アリスは気まずそうに笑う。
「行くよ」
ラセンはアリスの手を引いて歩き出す。
「あの……何処へ──」
「遊園地」
そう言って、ラセンは走り出す──
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