Prologue Ⅲ




「ハルク。アリス……大丈夫かな」


心配そうにアリスの顔を覗き込む、ラセン。


「……多分な」
「あたしのせいだ……」


ラセンが涙を浮かべながらアリスを見る。


「自分を責めるなよ、ラセン」
「もう……3日だよ? このまま目覚めなかったら──」
「そんな事、言うんじゃねェって」
「けど──」
「言ってなかったかもしれねェけど、こいつ……多分、一度目覚めたと思う」
「どういう事?」


溜め息一つ、ハルクは続ける。


「一昨日だったか……外の様子、見に行って戻ったら……こいつ布団の中で丸くなってた」
「何で黙って──」
「推測でしかねェし」
「……次、いつ起きるの……」
「知るかよ……けど、目が覚めたら覚めたで現実は──」
「そう、だね……」
「お前も無理すんなよ」


ハルクはラセンの頭を抱き寄せる。


「あたしは平気」
「……お前らしいな」
「……あたし、強くなれたのかな……」
「昔から変わってねェよ」
「…………変わってない、か」


ラセンは微笑む。
その頬を涙が伝い落ちる。
涙はアリスの頬へ──

すると──アリスが薄っすらと目を開けた。


「起きたのか、アリス?」


ハルクとラセンを見て、アリスは驚愕する。


「……誰?」



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