Doll 3-Parting footsteps




リクは河原で泣いていた。
膝を抱えて、声を押し殺して泣いていた。
近付くとリクが何かを言っているような気がする……


“ごめんなさい”

そう、リクは言っていた。
私の胸は締め付けられて、呼吸さえも出来なくなりそうだった。


「ごめんなさい……ごめん……なさい……」
「……リクは悪くない……」


私はリクを後ろから抱き締めて、震える声で言った。

「……でも……僕……大切な友達と……姉さんの──」
「言わないで!!」
「事実を隠すなんて無理──」
「リクじゃないの!!」


自分にも言い聞かせるように、リクに言った。


「……姉さんだって見たよね……僕の手は、真っ赤なんだ……僕が、殺ったんだ……僕がァ……」
「馬鹿っ!!!」

パァン──

私はリクの頬を力任せに叩いた。
そして、川でリクの手についた血を洗い流す。


「何……するんだよ!」


リクは叫んで、私の手を振り払った。

リクがこんなに感情を表に出す事なんて、今まで無かったのに……

私は、震える手でリクの手に触れる。


「触んなよ!  姉さんの手まで罪に汚れ───」


パァン──

私はもう一度、リクの頬を叩いた。


「何すん──」
「Arice・Doll……」
「え?」
「……Arice・Dollが──」


私は、リクにArice・Dollの事を話した。

自分を責めて傷つけて、壊れていくリクを見たくなかったから……
手遅れになるまえに……

でも……
あるいはもう──



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