Doll 26-Missing
床に倒れるハルク。
彼の身体はボロボロだった。
「くッ……攻撃の隙がねェ……ッ」
「これで最期だ──」
「Arice・Doll。今日の所は帰りましょう」
「邪魔をするな、エリーゼ」
「わたくし、貴方の事を思って言ってますのよ」
Arice・Dollはエリーゼを睨み付ける。
「折角、手にしたこの身体……大事にしてほしいですわ」
そう言って、Arice・Dollに抱き付く。
「それに今の貴方なら、彼女を手に入れるのは簡単なこと。違いますの?」
「──戻るぞ」
Arice・Dollはアリスを見つめ、エリーゼと共に……消えた。
「オイ、化け物ヤロー! 逃げんのか──」
「よせ、リゼル……また……歯が立たなかった」
「何言って──」
「俺だけじゃない。お前もだろ、リゼル」
「……クソッ!! 特訓だ? 笑わせんじゃねー! チビってるガキと同じじゃねーか! 何で動かなかったんだよ! 声すら出ねーって何なんだよ!」
何かの糸が途切れたように、リゼルは取り乱す。
「いい加減、落ち着けよ!」
「あんだと?」
「リゼル……少しだけアリスの事、頼む」
「……テメーは?」
「…………頼むぜ、リゼル」
ハルクは窓の外を見て、呟くように言った。
「……はぁ。言われるまでもねーし」
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