Doll 26-Missing




「タスク……」
「待ちくたびれたんだけど」
「貴様も急いでいるんだったな?」
「当たり前じゃん。大事な用があるからね」


そう言って、タスクは攻撃に備え構える。


「ならば一撃で決めさせてもらう」
「一撃? 舐めんなよ」


セツナは目を閉じ、全神経を集中させる。


「隙だらけ──」
「はァァァアアアア──」


タスクが剣を振り下ろすと同時に、セツナの指先がタスクの顔を掠める。


「惜しかっ──…………ぁぁあ…………うあぁぁぁぁああああ──」


タスクが両手で顔を覆う。
指の隙間から止めどなく血が流れ出る。


「手刀だが、数センチ先まで見えない刃がある」
「……手に入れた力、か」


ポタポタと血が滴り落ちる。


「これは、ほんの一部でしかない。貴様に全てを使う気はないからな」
「油断したよ、セツナ……」


タスクは服を脱ぎ捨てる。
──と、身体中が傷だらけだった。


「全身、切り刻まれるとこだったって事か。上手く交わしたと思ったんだけど……ははっ」

「トドメを刺したいところ打が、時間がない……命拾いしたな、タスク」
「ぐはあぁぁぁ…………ッ」


セツナは頭部と鳩尾に力一杯、拳を入れる。
タスクが倒れると共に、コトリ……と小さな音を立てて何かが落ちた──


「貴様は油断ならない……暫く寝てるんだな」



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