Doll 26-Missing
ラセンは懸命に呼吸を整え、口を開いた。
「あたし…………兄き……兄貴が……好きだ」
「ラセン──」
「…………きっと……初めて……会った日から……ッ」
「ラセン……」
セツナの手に力がこもる──
「兄貴が…………妹としか……見て……なく……ても…………」
「違う!! 違うんだ、ラセン……」
セツナはラセンを抱き締める。
「……ッ…………圧し殺していただけだ。僕達の関係が……崩れるのが怖くて逃げいた……たけだ……」
「…………それ……意味分かん……な──」
セツナはラセンにそっと口付ける。
「──これが答えだ」
「…………兄貴──」
「セツナ、だよ。ラセン」
ラセンは幸せそうに微笑んで、口を開く。
──吐血。
「ラセン!!」
ぐったりとするラセン。
セツナはラセンを優しく抱き締める。
──再び光が現れ、クロノ達が中から出てきた。
「セツナ。話は終わったか?」
「……あぁ」
「そうだ、セツナ。強き力は……無限大なんだ。例えば──」
「クロノ! それは──」
「ゲッカ、黙ってな!」
「だが──」
「決めるのは、セツナだ。いいか、一度しか言わねぇからな」
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