Doll 2-Words that I wanted to convey
ドサ──
クラリスとシリアが同時に倒れる。
「クラリス!!」
クラリスはシリアから私を庇った。
同時にシリアはリクに……Arice・Dollに刺された。
シリアは即死だった。
ハルクの表情がそう語っていた……
でも、クラリスは呼吸をしている。
生きている──
私はクラリスに駆け寄る。
「クラリス!……今、病院に──」
ケータイを取り出そうとする私をクラリスが止めた。
「だい……じょ……ぶ?」
弱々しくクラリスが言った。
「わ、私は…………平気……」
「よ……かっ……た……」
クラリスは力なく笑った後、目を閉じた。
「……クラリス……?」
ハルクは私の腕を掴んで首を横に振った。
出血の量を見れば私でも分かる……
「でも……っ」
認めたくなかった……
認めたくなんか無い……
クラリスが……
クラリスが死ぬなんて──
「イヤだよ……イヤだよ……クラリス……」
「……ア……リス……は……ハル……くん…………いる……じゃん……」
クラリス……
私まだ……ゴメンねって言ってないよ……
ちゃんと……仲直り……っ
それに誤解されたまま──
代わりなんていないよ、代わりなんていないんだよ──
その言葉は声にならなかった……
クラリスに残された時間が刻々と迫っていた。
せめて、誤解だけは晴らそう……
それが私の選んだ事だった。
「……クラリス……聞いて……」
クラリスは虚ろな目で私を見る。
「私……私ね……リクが好きなの……」
クラリスは驚きの表情を見せたけど、最期に笑顔を見せてくれた。
“アリスの事、応援してるよ”って言ってくれたように思えた──
そして、静かにクラリスの手がゆっくりと地面に着いた。
「…………クラ……リス──?」
どうして……
どうして、あの時に信じてあげられなかったんだろう──?
「うわああぁぁぁああああけ!!!」
もう……
ごめんねも“ありがとう”も届かない──
私は、クラリスの胸元に刺さったナイフを抜いて握り締めた。
「おい……コイツが繋いでくれた命を無駄にするつもりか?」
「そんな事するわけ……出来るわけないでしょ!」
私は溢れ出る涙を拭ってハルクを見る。
「…………私が抜いてあげなかったら……ずっと痛いままじゃない……」
「……そうだな」
私はナイフを投げ捨ててArice・Dollを睨んだ。
こいつだけは許せない──
そう思った時だった。
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