Doll 2-Words that I wanted to convey
「……デコピン?」
「デコじゃねーだろ」
暫くしてシリアは小さな“げっぷ”をして倒れた。
同時に灰色の煙も吐き出された。
「おし。“心‐イノチ‐”の邪気は出たぜ」
「デコピンで?」
「だから、デコじゃねーっての!」
「どういう事か分からないよ」
「中指で“心‐イノチ‐”に衝撃を与えて邪気を払ったんだよ」
「こうやって?」
私は指でデコピンの構えを作る。
「まあ、そんなだ」
「これで助けられるんだね」
「お前がやっても意味ねェけどな」
「どうして?」
「力がねェから」
「その力って何?」
「それは──」
言いかけたハルクの動きが止まる。
シリアが目を覚ました。
「…………私……」
「大丈夫?」
私はシリアに駆け寄って声を掛けた。
シリアは私を見て怯える。
……いや、正確には私の後ろの“何か”に怯えていた──
私は、ゆっくり振り向く。
「Arice・Doll……」
私が呟くと、リクが“セイカイ”と言って拍手した。
リクの瞳に光は無かった。
「自分の手は汚さねェってか?」
「まだボクは完全じゃナイカラネ……」
「完全じゃ無い……?」
「ウン。ボクだって人間ミタイニ成長するんだよ。コイツの体内で……ネ」
「待って。それじゃあ、リクはどうなるの?」
「……知ってるクセニ」
リクは薄気味悪い笑みを浮かべた。
そして、シリアに向き直る。
「誰がアリスをネラエとイッタ? 途中までは上出来だったノニ」
「リク、違うの! 私は──」
「もうイラナイ。キエテ」
Arice・Dollはナイフをシリアに突き付ける。
「前も言っただろ。“心-イノチ-”を無駄にすんなってよ」
ハルクがシリアの前に出た。
「邪魔ダヨ」
そう言ってArice・Dollはハルクを風圧で突き飛ばす。
「うわっ!」
ハルクは地面に叩きつけられて倒れた。
と、Arice・Dollは再びシリアの方に向き直る。
「やめて、リク!!」
私はもう誰も失いたくない……
リクの手も汚させたくない──
「サヨナラ、ダヨ」
「……やだ……リクは……私の………うわああぁぁぁああああっ!!!」
シリアがArice・Dollナイフを奪い、私に突っ込んで来る。
「ちょ、待──」
ハルクが体勢を立て直すよりも早くシリアがナイフを振り下ろした。
「アリス、危ない!!」
その声にArice・Dollが微笑んだように見えたけ
「クラ……リス……?」
ドス──
鈍い音が響き渡る。
目の前で信じられない事が起こった──
「いやぁぁああああっ!!」
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