Doll 25-Sibling
そっか。
ハルクが隠れたのは、家が近いから……
空を見上げると、茜色の空が青紫色に変わろうとしていた。
ふと、足元に何かが落ちた。
「やだ……」
リクへのプレゼントが鞄の隙間から落ちた。
拾って汚れを払う。
「アリス!」
名前を呼ばれて振り向く。
そこには……ラセンがいた。
「ラ……セン? どうし──」
「ハルク……ハルクは?」
「此処だよ。お前、今まで何処に──」
「コレ……」
ラセンはフラつきながら、何かをハルクに差し出す。
「コレは──」
「あぁ……間違いないと……思う…………」
ハルクは丸く光を放つモノを受け取り、ラセンを支える。
ラセンは安堵の表情を浮かべて意識を手放した。
「おい、ラセン! ラセ…………寝てやがる」
ふと見ると、身体中に切り傷や擦り傷、痣があった。
「こんなになるまで……どうして……」
「必死だったんだな。何があったか知らねェけど」
ハルクは彼女を抱き抱えた。
その手は微かに震えている……
「……セツナには会えたのかな」
「さあな」
ラセンを私の部屋のベッドに寝かせる。
カーテンを静かに閉めると、ハルクはラセンから受け取ったものを私に差し出した。
「Alice Glass……?」
「おそらくな」
「でも、どうしてラセンが? もしかして一人で──」
「それはない。一人で乗り込んで無事で済むはずがないだろ」
「……そう、だよね……」
「静かにしろ」
ハルクが手で私の口を塞ぐ。
「外、誰かいやがる」
視線を窓に向ける。
気配は分からない。
けど……一瞬、何かが動いた気がした。
「まさか……Arice・Doll──」
「多分、違うな。あいつは……異常にまで禍々しい殺気を放ってくる」
「じゃあ……誰が──」
その時、誰かがドアをノックした。
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