Doll 25-Sibling





「おや。寄り道ですか」


目的のものを買ってお店を出ると、声を掛けられた。


「あ、あなたは──」
「はい。カルロ先生です」


彼は無邪気に笑いながら言った。


「……先生!?」
「何でそんなに驚くんですか? 今日、学校で顔を合わせたじゃないですか」


頭が混乱する。
そういえば、今日はママの所へ行くことしか考えてなかった……


「それとも何ですか? 教師と生徒という関係に不満でも?」


そう言って、彼は私の手を取った。


「ま、待ってください!」
「はい」
「せ、先生は一体……」
「しがない家庭科の教師ですが?……今は教育実習ですが」


それを聞いて少しホッとした。


「改めて、これから数ヶ月よろしくお願いしますね」


手の甲にキスされそうになり、誤魔化すように聞いた。


「彼女にプレゼントですか?」
「彼女……そういう人がいればいいんですけどね。ああ、そうだ。どうです? 僕の──」

「失礼します!」
「……残念」


アリスと別れると、カルロは身震いし膝を着く。


「……想像以上だな……身体が疼く」


彼は自分の身体を両腕で抱き締め、落ち着かせようとする。


「……いよいよ、か」


空を見上げ、深呼吸一つカルロは呟いた。


「……さてと、僕も行かないと」


そう言って、彼は立ち上がり踵を返した。



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