Doll 25-Sibling
「ありがとう、ハルク」
私が声を掛けると、ハルクが降りてきた。
「なんだよ、急に」
「やっぱりいた」
「つけてたわけじゃないけどな」
「知ってる」
少なくとも、ママの所は私一人だった。
「このまま帰るのか?」
「……寄り道するって言ったら?」
「ったく。付き合ってやるよ」
「いい。ついてくるなら、さっきみたいに隠れてついてきて」
「何だよ、それ」
「勘違いとかされたくないから」
「誰がするかよ」
怒って姿を消すかと思ったのに、今日は違った。
「何だよ」
「リゼルとはどうなったのかなって」
「どうもこうも、あいつ石頭すぎだろ」
「そうなんだ……」
そんな会話から始まった、何気ない会話。
ショッピングモールに着くまで、数分続いた。
「そんじゃな」
「中は一緒に見ないんだ?」
「それこそ勘違いされんだろ。適当に紛れてっから心配すんな」
そう言って、ハルクは人混みに消えていった。
一人になると、急に静かに感じた。
モールの中は人で溢れているのに──
「さてと」
遅くなると、リクが心配するよね。
私は足早に目的のお店へと向かった。
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