Doll 25-Sibling




「アリス!」 


名前を呼ばれたかと思うと、勢いよく窓を叩く音。


「な、何してるの?」


カーテンを開けると、ハルクとリゼルが血相を変えて立っていた。


「無事か?!」
「どういう意味よ」
「一人にさせるつもりは──」
「リクと一緒だったから」
「あいつと──」
「誰だよ、ソイツ」


ハルクの言葉を遮って、リゼルが不機嫌そうに言った。


「こいつの弟」
「弟だぁ? 見たことも聞いたこともねーんだけど」
「……マジかよ……」
「二人で何か、隠してんじゃねーだろな?」
「隠してなんか──」


言い掛けた時、ドアを叩く音と、ママの声が聞こえた。


「アリス? ちょっといいかしら」
「今、行く!……ほら、二人とも出ていって」
「いや、待ってる。ソイツの事、詳しく聞かせてもらおうじゃねーか」


リゼルが指を鳴らしながら言った。


「オレが説明してやっから」
「テメェに聞いてねーんだよ」
「いいから来い!」


ハルクはリゼルを無理矢理、外へ追い出した。


「安心しろよ。ちゃんと守ってやっからよ」
「ご心配なく」
「可愛げねェの」
「悪かったわね、可愛げなくて」
「……お前らしくていいんじゃねェの」
「何か言った?」
「何も」


ハルクも窓から出ていった。
窓を閉めて、カーテンを閉める。
二人が言い合う声が聞こえて、思わず笑ってしまう。


「本当、仲良いんだから」


静かに部屋を出て、ママの待つリビングへと階段を下りた。



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