Doll 25-Sibling
唇が離れると、静かにリクと目が合った。
恥ずかしくなって俯くと、そっとリクの両手が頬に触れた。
その手が次第に小刻みに震え出す──
「リク……?」
一瞬、リクの顔が蒼白く見えた気がした。
……車のライトのせい?
「アリ──……っ」
突然、リクに突き飛ばされる。
「リク? 待ってよ、リク──!」
逃げるように走り去る、リク。
立ち上がろうとした時──
「痛……っ」
尖った石に手を着いてしまった。
手の小石を払い、顔を上げると……リクはもう見えなくなっていた──
「リク……」
顔色、気のせい……だよね?
不安で鼓動が波打つ。
「大丈夫ですか、お嬢さん」
「ありがとうございま──」
差し出された手を取ると、ぐいっと引き寄せられた。
「また、会ったね。“運命”かな? “偶然”……かな?」
「きゃ──」
また……手の甲にキスをされた。
「な、何をするんですか!」
「つい癖で。すみません」
「癖でって、あなた──」
「カルロですよ」
そう言うと、彼は踵を返した。
「……何なのよ、もう……こんなことしてる場合じゃないのに」
深呼吸一つ、走り出す──
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