Doll 25-Sibling




「ここ、ね……ちょうど事故現場なの……」


今まで、ずっと避けていた場所。
目を逸らしていた場所だった。
怖くて怖くて……悲しみと恐怖しかなかった。


「……飾られた、どんな樹よりも……綺麗だね」


樹が笑顔のママの姿と重なる──
最高のクリスマスプレゼントだな……


「……パパにも教えてあげなくちゃ」
「そうだね」
「リク、もう少し……ここにいてもいいかな?」
「いいよ」
「ありがとう」


リクと二人、樹を見上げる。
他の誰かから見れば、ただの樹かもしれない。
私にとっては特別。
それがとても嬉しかった。


「……あのね」
「ん?」
「リクと出会って、昔からの弟が欲しいっていう夢は叶ったよ」
「違うよ」


リクは低い声で否定した。
冷たい風が頬を撫でる。
顔にかかる髪をおさえ、リクを見る──
思わず、ドキッとした。
月明かりに照されたリクが……
とても格好よく見えた──


「違う。弟なんかじゃない」
「え──」
「告白した、あの日から……僕はそう思ってるから」


そう言って、リクは私にそっとキスをした──

いつの間にか、街は恋人達で賑わっていた。
向かいの建物のディスプレイ時計は、ちょうど8時──

気付けば、深深と雪が降っていた。



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