Doll 25-Sibling




ズ……キン……ズキン──

また、だ……
あの時から時々、痛む──
ずっと、ではない。
きっかけもあるわけじゃない。

僕は……一体どうしたんだ──?


「リク?」
「ご、ごめん……靴紐」


咄嗟に嘘をついた。
──今が夜で良かった。


「行こう、アリス。時間がない」


走って、走って着いた場所は……駐車場に変わっていた。


「仕方ないよ。もう6年も前だから。でも、ありがとう」


笑顔のアリスに胸が苦しくなる。
そんな顔をさせたくて来たわけじゃない。


「もしかしたら、ここじゃないかもしれない。行こ──」
「リク。ありがとう、もういいよ」
「よくない……全然、よくないよ」


なんで、こんなにムキになっているのか自分でも分からなくなっていた。


「もう、いいの……来て……良かった……」


アリスの頬を涙が伝い落ちる。


「ごめん。此処は……余計に辛い思いさせちゃったよね」
「そうじゃない……リク、後ろ見てよ」
「うし……ろ?」


恐る恐る、振り向く。
そこには巨大なクリスマスツリーがあった。
正確には似ている樹。
名前は確か、“カイヅカイブキ”だったか……
通る車のライトや信号、街のネオンを浴びてクリスマスツリーのように見えた。



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