Doll 25-Sibling
思い出して涙が溢れてくる。
リクは無言で私を抱き締めてくれた。
「……何日か経って、パパがあの時のぬいぐるみを買ってきてくれたんだけど……“いらない”って投げ返したの……酷いよね、私……」
リクは首を横に振って微笑した。
「行ってみようか、そのお店」
「え……?」
「もしかしたら、まだあるかもしれないよ」
「ううん。その子、最後の一つで……結局、ママと一緒に──」
「そう思った。アリスは優しいからね。だから、行くんだよ」
リクに手を引かれ、部屋を……家を飛び出す。
「ちょっと! 二人とも、こんな時間にどこに行くの?」
「この時間だからだよ、母さん。イルミネーション」
母さんは時計を見て、溜め息一つ。
「8時までには帰ってきなさいよ」
と、言ってくれた。
「……30分、か。急ごう、アリス」
「う、うん」
駆け出そうとした時、リクがしゃがみこんだ。
「リク?」
「ご、ごめん……靴紐」
リクは靴紐を結び直し、再び私の手を引いて走り出した。
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