Doll 25-Sibling
「ラセン? どこにいるんだ?」
ラセンは木陰で無防備に寝ていた。
心地よい風がラセンの髪を揺らし、頬を撫で……胸元の肌をチラつかせる。
「ふくらんでる……なんか、隠してるのか?」
そっと触れると、ソレはとても柔らかく僕には無いものだった。
「何だ、コレ──」
「それ以上はいけないよ。ラセンは女の子なんだから」
ラセンの服を掴む僕の手を止めたのは彼だった。
「女の子?」
「君は男の子。ラセンは女の子。違うイキモノなんだよ」
「何がちがうんだ? 僕といっしょだよ」
「違うよ。ホラ、よく見てごらん」
彼に言われ、僕は彼女をまじまじと見る。
──同じ筈なのに何が違う。
見れば見るほど、同じなのに何かが違う。
何もかもが違って見えてくる──
肌の色ひとつ取ってみても、同じ筈なのに何かが違う……そんな気がする。
「ちがう……分かんないけど、ちがう」
「うん。今はそれでいい。いずれ理解する日がやってくるから」
この日から僕は“ラセン”を意識し始めた。
その想いを“兄貴”という言葉と“意味”で蓋をした。
兄妹という関係が……
──何も無かった僕に与えられた、モノを失う恐怖心。
そんな時、ハルクが現れた。
ラセンは同年代ということで、やけに彼を気に入った。
兄妹という関係の安定と共に、妙な焦りを感じた。
だか、そんなものは直ぐに安定が打ち消す。
何度も何度も、何度も……
そして、“安定した毎日”を過ごせるようになった──
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