Doll 25-Sibling




僕が5歳の時の話になる。


「きょうだい、ってなに?」
「かぞくってことだよ。よろしくな、ラセン」
「うんっ!……えっと、セツ──」


“アニキ”
彼がラセンにそう教えた。
故にその日から、僕はラセンの“アニキ”……“兄貴”となった。

ラセンが物心付く前から、僕達は一緒。
彼女が妹と言っても、よく分からない関係。
むしろ最初はただの遊び相手、暇潰しくらいにしか思っていなかった。


「アニキ、どこいくの? あたしもいく!」



ラセンはすぐに懐いた。
どこに行くのも一緒で、一日中くっついていても飽きない存在だった。


「アニキ、すきっ!」
「ぼくもだよ、ラセン」


こんなやり取りも他愛ないことだった。
触れ合う温もりさえ、当たり前の事だった。


10年後の……
あの日、あの夏が来るまでは──




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